第13回カーサウンドコンテスト > 審査員講評
今回で13回目の「Xクラス」の審査となりましたが、全体的なレベルが上がってきたという印象を受けました。しかし飛び抜けてすごいものはなかったので、来年はそういったクルマが出てくることを期待したいところです。後は毎回言ってきたことですが、曲を研究して演奏家を研究することが重要です。今回はその成果を音に出しているクルマが、従来よりも目立ったのが印象的でした。音楽というのは表現の道具であるわけですから、その研究の成果を説得力のある音で聞かせてくれるということを来年も期待したいと思います。
今回は課題曲それぞれの特徴がすべて上手く出ているものを高く評価しました。つまり偏ったものではなくて、ジャズのリズミカルさもいけるし、クラシックの深々とした緩やかな音もいけるというものです。そう考えると今回上位に入賞したクルマは、非常にバランスのとれたシステムといえます。一方でジャズはいいけれど、クラシックはちょっと、あるいはその逆というクルマも何台か見受けられたのは残念です。そういったバランスのいい音作りをするには、やはり場数を踏んで、基礎をしっかりと押さえることが一番重要だと思います。
今回の課題曲は、いきなりガツンと大きな音が出る曲で、この最初の音量を間違えないようなチューニングが必要です。そうすればその後の弱音の静かなところも綺麗な音が出てくるはずです。そこを抑えめにして、ボリューム設定が慎重になりすぎ、ダイナミックさが伝わってこないクルマがあったのが残念でした。またオーケストラは後ろから音が聞こえてくることはまずありません。あえてそうする場合もあるかもしれませんが、基本的にはステージが前にあるものだと考えてチューニングしたほうが聞きやすくなると思います。
「内蔵アンプ」の課題曲は2曲でしたが、特にクラシックの方が大変だったのではないかなというのが正直なところです。なにがその音楽の一番大事なところかというのを、今一度見直して、そのあたりを忠実に表現できるよう頑張っていただきたいと思います。「カーシアター」のほうは、ソフトがライブもの1点だけだったのですが、映画ソフトの再生に向いたクルマが多かったよう気がします。やはり映画ではなく音楽ライブというと違った難しさもあると思いますので、そのあたりにも配慮していただきたいところです。
今回の「ディーラーXクラス」の入賞者は、どれも盤石の音作りをしていると感じました。また参加者全体のレベルの差が縮まってきたというのも強く感じました。ですから今まで上位につけていた方も、ちょっと油断すると回に甘んじてしまうと言うことも今後はあり得るのではないでしょうか。またベースの音に着目してチューニングされている方がたくさんいらっしゃいましたが、ベースの量感を出すのと音が膨張してくると言うのは違いますので、そのあたりに十分注意してチューニングしていただきたいと思います。
まず「カーシアター」ですが、基本のフロント3チャンネルの完成度が、今回の勝負ポイントでした。それにリヤをどれぐらい奏でるか、結局基本の5.1chがちゃんとできていないクルマは今回は厳しかったと思いますので、基本を考え直すいい機会だったと思います。「内蔵アンプ」は、DEH-P01オンパレードで、このユニットをどれだけ使いこなせるかの勝負でした。それを3WAYや2WAYで使うなど、いろいろな方針がありますが、やはりきちんと鳴っている、特にクラシックが鳴らないとバランスがおかしくなってしまいます。