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時刻指定や休憩時間も考慮!
巡回最適化APIを使った配送ルート計画の活用方法

2025年 5月 27日

テクノロジー

宅配業者や保険・不動産をはじめとした営業職など、1日に複数の配送先や訪問先を回る必要がある業種では、時間帯指定やドライバーの就業時間・休憩時間、さらに積み下ろしや作業時間といった条件をすべて考慮しながら、効率的なルートを組むのは、なかなか至難の業です。
本記事では、パイオニアのPiomatix LBS API(Piomatix Location Based Service API)のラインアップのひとつ「巡回最適化API」を利用して、こうした複雑な制約を含む配送順を最適化する方法をご紹介します。

Piomatix LBS API(Piomatix Location Based Service API)

巡回最適化API

目次

1. この記事の目的

本記事は、宅配業者や営業職など、1日に複数の配送先・訪問先を効率よく巡る業務に携わる方や、それらを支援するシステムを構築・提供している開発者や事業者を主な対象としています。

  • 配指定や作業送先ごとの時刻時間などの様々な条件を指定し、どのような結果が得られるのかを紹介します。
  • ドライバーの就業時間や休憩時間を考慮することで、法令や就業ルールを遵守しつつ、効率的な配送順の算出方法を紹介します。
  • 実際のシステム画面イメージや具体的なAPIのサンプルパラメータや結果の内容を交え、具体的にどのように利用できるのかをイメージできるようにします。

2. 巡回最適化APIの特徴

巡回最適化APIは、複数の訪問先を効率的に回るための最適な順序を計算し、配送や訪問スケジュールの作成を強力にサポートします。以下のような特長があります:

  • 訪問順の最適化:複数地点を回る際に、移動時間や距離を抑える最適ルートを算出
  • 労務条件の反映:ドライバーの就業時間や休憩時間といった労務条件を考慮
  • 時刻指定の考慮:訪問先ごとの到着時刻指定(例:午前必着、夕方以降など)を守れるように計画
  • 作業時間の考慮:積み下ろしやメンテナンス作業に必要な作業時間を反映
  • 高い処理性能:最大地点25まで対応し、数秒~十数秒で計算結果を返却(大規模巡回最適化APIは、最大200地点まで対応し、数分で計算結果を返却)
    大規模巡回最適化API

例えば 、配送先が10ヶ所以上ある宅配業者や、日々の営業活動で複数の顧客を訪問する営業職の方々 は、手作業によるスケジュール調整が非常に煩雑です。巡回最適化APIを活用すれば、効率的かつルールを守った訪問スケジュールを短時間で作成でき、業務全体の生産性向上につながります。

3. 実例:時刻指定や休憩を考慮した配送ルートの最適化

3.1 想定シナリオ

物流企業A社では、1日の配送先リスト(10〜15拠点)から配送スケジュールを組む作業を行っていますが、次のような条件や制約があり、非常に手間と時間のかかる業務となっています。

  1. 顧客の時刻指定
    「午前中指定」、「午後1時以降しか対応できない」など、指定時間の順守が必要。
  2. ドライバーの就業ルール
    1日の就業時間は9時間、昼休憩を含む1時間の休憩が必要。
  3. 積み下ろし作業時間
    1拠点あたり5分から90分 程度の作業時間が発生。
  4. 交通規制の考慮
    一方通行や車両通行禁止など、規制情報の考慮が必要。

例えば 、次のような一日の配送先リストがある場合、巡回最適化APIを使用すると、どのような結果が得られるのでしょうか。

ドライバーの担当配送先リスト

配送先 住所 配送時間指定 配送時間指定
A 埼玉県川越市元町**丁目**番地* 午後 30分
B 埼玉県川越市小ケ谷***−** 10:00~11:00 5分
C 埼玉県川越市並木**−** 14:00以降 60分
D 埼玉県川越市菅間**−** 午前中 30分
E 埼玉県鶴ヶ島市南町**丁目**−** なし 90分
F 埼玉県川越市むさし野**番地** 午前中 10分
G 埼玉県川越市下広谷**−** 16:00~18:00 30分

ドライバーの就業情報

就業時間 8:30~18:30
休憩時間 11:00~15:00 の間で1時間

3.2 巡回最適化APIを使用した算出結果

3.1 の具体例の条件を巡回最適化APIに指定すると、次の結果となります。

巡回最適化APIの算出結果

配送順
順番 配送先情報 到着予定時刻 出発予定時刻 作業時間
1 拠点 08:30 08:30 0
2 F 08:40 08:50 10
3 D 09:11 09:41 30
4 B 10:00 10:05 5
5 E 10:20 11:50 90
6 A 13:00 13:30 30
7 C 14:42 15:42 60
8 G 16:12 16:42 30
9 拠点 16:56 16:56 0
休憩時間
回数 開始時刻 終了時刻
1 13:30 14:30

各配送先の時刻指定や作業時間、休憩時間を考慮したスケジュール(配送順)として、
拠点 ⇒ F ⇒ D ⇒ B ⇒ E ⇒ A ⇒ C ⇒ G ⇒ 拠点 
が生成されます。

巡回最適化APIなら、これらの制約条件をリクエスト時にまとめて指定するだけで、最適な巡回順とルートを自動的に算出可能です。ドライバーがオーバーワークしないように休憩時間を挟みつつ、かつ時間指定を守った巡回順序を数秒程度で導き出せます。

4. APIの利用方法とリクエスト・レスポンスの例

巡回最適化APIの利用方法は非常にシンプルです。リクエスト時にJSON形式のデータを送信することで、レスポンスとしても同じくJSON形式で結果が返されます。

4.1 APIリクエストサンプル例

LBS API仕様書 には、Python向けやブラウザ向けの実装サンプルコードが掲載されていますので、ご確認ください。

LBS API仕様書

4.2 リクエスト送信の例

以下のようなリクエストボディを作成しPOSTメソッドで送信します。

※住所から緯度経度変換を行うためには、別のAPI(住所検索API)が用意されています。

4.3 レスポンス結果の例

APIを呼び出すと、最適な順序や各地点への到着・出発時刻、走行ルート(リクエストパラメータで、描画用情報取得要否設定にTrueを指定した場合)がJSON形式の結果が返されます。

5. レスポンス結果の可視化

APIのレスポンスで得られた配送順やルート情報を地図ライブラリと組み合わせて利用することで、地図 上にルートを含めた描画が可能です。

© OpenStreetMap contributors

© OpenStreetMap contributors

  • 配送先にピンを立てたり 、配送ルートの区間ごとに色分けして表示したりすることで、誰にとっても直感的に理解しやすい表示が可能になります。
  • 配送順をスケジュール表として可視化することで、空き時間や配送指定時刻までの時間の余裕度が可視化でき管理しやすい仕組みとしても作成可能です。

まとめ

一日に複数の配送先を巡回する配送業や、複数の顧客を訪問する営業職において、時刻指定や休憩時間、作業時間(商談や、積み下ろし作業など)などの細かな条件を、人手で調整するのは非常に大きな負担です。
配送ルートの計画や、顧客訪問順番の計画は、担当者の経験や勘に頼ることが多く、時間がかかる上に業務が属人化する傾向にありました。

しかし、「巡回最適化API」を活用することで、こうした条件を考慮した配送順やルート設計が可能となり、属人性を排除しながら、誰でも同じ品質で計画を立てられるようになることで、業務全体の効率が大幅に向上します。配送順やルートの最適化は、単なる業務効率化にとどまらず、移動時間やコストの削減、ドライバーの稼働効率向上、さらには売上・利益の最大化にもつながるのです。配送や訪問業務 を行う企業や、これらの業務を支援するシステム開発企業は、ぜひ Piomatix LBS APIの「巡回最適化API」 導入を検討してみてください。

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