2025年 9月 8日
安全運転管理
安全運転管理者の選任が必要な企業は、酒気帯びの有無を確認するアルコールチェックの実施に加え、記録簿の保存も義務付けられています。記録簿に必要な確認項目は、確認者・運転者の氏名、確認日、酒気帯びの有無などです。本記事では、アルコールチェックの記録簿の必要性や記載すべき確認項目、保管方法などを解説します。

一定条件を満たす企業は、酒気帯びの有無を確認するアルコールチェックを実施して結果を記録簿に残し、その記録簿を1年間保管する義務があります※。アルコールチェックの記録簿に必要な確認項目は、確認者・運転者の氏名、確認日、確認方法、酒気帯びの有無などです。
本記事では、義務化の背景について触れた上で、アルコールチェックの記録簿の必要性や記載すべき項目、保管方法、記録を怠った場合のリスクなどを解説します。本記事を参考にして、適切な記録簿を作成しましょう。
※参考:警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」(参照 2025-05-08)
アルコールチェックの記録簿が必要なのは、一定条件を満たす企業に対して、チェックした内容を記録し、1年間保存することが義務付けられているからです※1。
アルコールチェック実施の義務化は、2021年の道路交通法施行規則の改正によって規定が設けられました※1。義務化は段階的に進められ、第一段階として2022年4月1日から、測定結果の記録および1年間の保管が企業に義務付けられています※1。
この法改正の背景には、2021年6月に千葉県八街市で発生した飲酒運転による悲惨な事故があります※2。飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、児童5名が死傷する事故が発生しました※2。当時、緑ナンバー(事業用車両)を使用する事業者にはアルコールチェックの義務がありましたが、事故を起こしたトラックは白ナンバー(自家用車両)でした。
この事故を受け、一定台数以上の白ナンバー車両を保有する事業者にもアルコールチェックが義務化されています。このような悲惨な事故を繰り返さないためにも、アルコールチェックを確実に実施し、記録簿に結果を残して保管することが求められています。
※1 参考:警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」(参照 2025-05-08)
※2 参考:公益社団法人 全日本トラック協会.「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」(参照2021-08-04)(PDF)
アルコールチェックの実施と記録簿の保存は、安全運転管理者に対して義務付けられています。
以下のいずれかに該当する場合、安全運転管理者の選任が必要です。
上記いずれかの条件に当てはまる場合は、業種を問わず、アルコールチェックの実施と記録簿の保存が義務となります。
なお、マイカーは私用車に当たるため台数の計算には含まれませんが、業務に使用している車両であれば、車種や用途に関係なく対象です。
アルコールチェックの記録簿について知る前に、今一度アルコールチェックの流れを確認しておきましょう。
上記はあくまで一例です。記録簿の保管方法によって、流れが異なることがあります。
アルコールチェックは、原則安全運転管理者の立ち会いの下で実施しますが、直行直帰などの場合は、カメラやスマートフォンを用いて遠隔で実施しても構いません。
ここからは、アルコールチェックの記録簿に記載すべき項目を確認していきましょう。
アルコールチェックの記録簿に、記載が必要な項目は以下の通りです。
対面で実施しなかった場合は、「スマートフォンによる映像と音声での確認」などのように、実施方法の詳細も記録する必要があります。
必須事項に加え、以下の項目を記載しておくと、万が一の際にも状況を正確に把握できます。
事業者によって、業務の性質が異なるため、これら全てを記入する必要はありません。自社の業務に応じて、あると便利な項目がないか検討してみると良いでしょう。
アルコールチェックの記録簿に、国が定めた様式はありません。ただし上述の通り必須項目は決まっているため、その項目は必ず記載する必要があります。インターネット上では記録簿のテンプレートも配布されているので、ダウンロードして活用するのも一つの方法です。
アルコールチェックの記録簿の保管方法は、大きく分けて以下の3つがあります。
それぞれの保管方法について詳しく見ていきましょう。
記録簿を手書きで記入する場合、紙で保管することになります。
紙での保管は、パソコン入力に慣れない従業員でも簡単にできるのがメリットです。前述したように、インターネット上で記録簿のテンプレートが配布されているので、ダウンロードして活用しても良いでしょう。
ただし、記録簿は1年間保管が必要です※。そのため、保管場所が十分にないと、事業所のスペースを圧迫してしまう可能性があります。チェックを実施する対象者が多い場合は、十分な保管場所が確保できるかも確認しておきましょう。
※参考:警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」(参照 2025-05-08)
Excelなどで記録簿を作成し、パソコンでデータを保管する方法もあります。
パソコンの場合、チェック対象者が多くても、保管場所に困ることはありません。必要なデータを探す際も検索をかけられるので、手間が軽減できます。乱筆や悪筆など読みにくい字に困ることもなく、誤字脱字や記入漏れも見つけやすいでしょう。インターネット上で配布されている記録簿も、Excelに対応したものが多くあります。
複数の拠点がある場合も、データを共有すれば簡単に全対象者の状況を確認できます。ただし、パソコン入力が苦手な従業員がいる場合、導入当初は手間がかかってしまう恐れがあるでしょう。
近年は、アルコールチェッカーの運用をサポートする多くのITツールが登場しています。ITツールを活用すれば、測定した結果をクラウドに自動で保存できるため、記録簿の入力や確認にかかる手間を大きく軽減できるでしょう。
保管場所が必要ない上、パソコン入力が苦手な従業員でも、スムーズに記録が行えます。また、測定した結果が自動的に保存されるので、不正行為の防止にも効果的です。データが一元管理できるため、安全運転管理者の負担も大きく軽減されます。特に拠点の数が多い企業や、チェック対象者が多い企業は、クラウドでの保管が有効です。
運用の効率性を考えると、メリットが大きいクラウドでの保管ですが、コストがかかる点がデメリットです。導入費用だけでなく、月額費用もかかるので、導入を検討する際は、費用対効果を考える必要があります。
アルコールチェックの記録簿の保存をしないと、どのようなリスクがあるのでしょうか。
記録簿の保存は、安全運転管理者に義務付けられているため、記録や保存を行わないと安全運転管理者義務違反となります。
しかし2025年5月現在、安全運転管理者義務違反に対して、直接的な罰則は設けられていません。ただし、適切な安全管理が行えていないと見なされると、公安委員会から是正措置命令や安全運転管理者等の解任命令が下されることがあります。これらの命令に従わなかった場合、50万円以下の罰金が科せられます※。
※参考:警察庁「道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行等に伴う交通警察の運営について(通達)」(2022-09-14)(PDF)
アルコールチェックの記録簿を適切に保存していないと、飲酒運転を見逃してしまう恐れがあります。
記録簿を作成し、運転者に記入させることで、日々の状況が正確に把握できます。加えて、従業員ごとの飲酒習慣や懸念事項なども把握できるため、問題のある従業員に適切な指導を行うことも可能です。状況を管理することで、飲酒運転の防止につなげられるでしょう。
しかし、記録簿を保管していないと、どの従業員にどういった指導や対応が必要なのかが管理できません。特に運転に従事する従業員を多く抱えている場合、記録簿無しに従業員個々の状況を把握するのは困難です。
その結果、飲酒運転を見逃してしまい、重大な事故に発展する恐れがあります。
適切なアルコールチェックや記録簿の保管ができず、従業員が飲酒運転をしてしまった場合、厳しい罰則や行政処分が科せられます。また、罰則を科せられるのは従業員だけでなく、飲酒運転に関わった人全員です。
具体的にどのような罰則や行政処分が科せられるのかを見ていきましょう。
飲酒運転をした場合、運転手には以下の罰則と行政処分が下されます※。
| 違反種別 | アルコール基準値(呼気) | 罰則 | 違反点数 | 行政処分 |
|---|---|---|---|---|
| 酒気帯び運転 | 0.15mg/L以上、0.25mg/L未満 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 13点 | 90日間の免許停止 |
| 酒気帯び運転 | 0.25mg/L以上 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 25点 | 欠格期間2年の免許取消し |
| 酒酔い運転 | 数値基準なし | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 35点 | 欠格期間3年の免許取消し |
酒気帯び運転とは、呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L以上の状態で運転することです。酒気帯び運転の罰則は一律ですが、違反点数や行政処分は、呼気中のアルコール濃度が0.25mg/L未満か0.25mg/L以上かで異なります。
酒酔い運転とは、アルコールの影響を受けて正常な運転ができない状態のことです。アルコール濃度の基準値は設けられていませんが、以下のような状態の場合、酒酔い運転となります。
酒酔い運転の罰則や行政処分は、酒気帯び運転よりも厳しいものとなっています。
警察庁「飲酒運転には厳しい行政処分と罰則が!」(参照 2025-05-08)(PDF)
飲酒運転をした場合、運転者以外にも罰則が科せられます。罰則の対象となる人物は、以下の通りです。
それぞれに科せられる罰則は以下の通りです※。
| 酒気帯び運転 | 酒酔い運転 | |
|---|---|---|
| 車両を提供した人 | 3年以下の懲役または 50万円以下の罰金 |
5年以下の懲役または 100万円以下の罰金 |
| 酒類を提供した人 | 2年以下の懲役または 30万円以下の罰金 |
3年以下の懲役または 50万円以下の罰金 |
| 車両に同乗した人 | 2年以下の懲役または 30万円以下の罰金 |
3年以下の懲役または 50万円以下の罰金 |
例えば、企業の代表者や責任者、上司、同僚が上記いずれかの行為をしていた場合、罰則の対象となります。
アルコールチェックを実施しているものの、記録簿の未記入や未提出が多く、課題を抱える企業や、不正行為のリスクを抱えている企業も見受けられます。
適切にアルコールチェックを実施し、未記入・未提出や不正行為のリスクを軽減するには、運用体制のルールを設けて、従業員に周知徹底することが大切です。ルールはマニュアル化し、誰もがいつでも確認できるようにしておくのが望ましいです。
以下のポイントを中心に、運用ルールを構築しましょう。
いずれのルールも、シンプルかつ明確にまとめることがポイントです。複雑なルールにすると、適切な記入やチェックが難しくなります。
併せて飲酒運転のリスクや罰則についても改めて従業員に周知することで、アルコールチェックの実施と記録簿への記入への理解を得やすくなるでしょう。
安全運転管理者を置いている事業所では、アルコールチェックの実施に加え、記録簿の1年間の保存も義務付けられています。記録簿の保存を怠ると直接的な罰則はありませんが、従業員の飲酒運転を見逃すリスクが高まります。
パイオニア株式会社の「MobilityOne 安全運転管理」は、アルコールチェックや運転日報などの安全運転管理業務を一元化できるシステムです。専用機器不要で、ドライバーの操作もスマートフォンで簡単にできます。また、安全運転管理者の日常業務をフロー化できることから、アルコールチェックの管理業務の負担を軽減できるだけでなく、アルコールチェックを確実に漏れなく実施できます。つまり「MobilityOne 安全運転管理」は、アルコールチェックの効率化と漏れ防止、管理業務の負担軽減、これらすべてが実現できるシステムです。アルコールチェックの実施方法や管理にお悩みの企業は、ぜひ導入をご検討ください。
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本記事を参考に、必須項目に加えて、独自の項目を取り入れた記録簿を作成し、適切に運用しましょう。