2013年技術論文

1.レーザープロジェクターを用いた
フルカラーヘッドアップディスプレイの開発

棚橋祥夫、加園修、柳澤琢麿、野本貴之、菊池育也、江塚敏晴

【要旨】

我々は車両天井への設置が可能な小型ヘッドアップディスプレイ(HUD)を開発した。光学系は、レーザープロジェクター、透過型スクリーン、コンバイナー(凹面ハーフミラー)から構成され、これらの組み合わせにより、水平17.1、垂直5.7度という、従来のHUDよりもはるかに広い視野角を達成した。また、このHUDによって、光学シースルー方式のARナビゲーションが可能となった。なお、本報告はIDW/AD'12で発表した内容(1)を元にしたものである。

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2.カープローブデータの活用について

橋本和憲、鎌田喬浩、恒川賢二

【要旨】

我々はカーナビゲーションから収集されるカープローブデータを用い、様々な解析を行うことによって実サービスを実現している。我々の技術はいわゆる"ビッグデータ処理"と呼ばれ、今後ますます期待されるものである。ここではカープローブデータを利用したサービスの状況と、いくつかの活用例を示す。

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3.米国地上デジタルTV用移動受信機

岩井智昭、林幸雄、阿部義徳

【要旨】

ATSC方式は米国、カナダ、メキシコ、韓国で採用されている地上デジタル放送規格である。これまで、このATSC信号の移動受信は不可能だとされてきた。実際、1998年の放送開始以来、移動受信可能な受信機は存在してこなかった。しかしながら、我々はATSC用の移動受信機の開発に成功した。開発したプロトタイプ受信機は時速200 kmの高速移動環境においても無誤り受信可能である。米国ロサンゼルスで実施されたフィールド実験での総合受信率は98 %以上であり、本技術の実製品への応用がすぐにでも可能であることが示された。フィールド実験では、受信RF信号のキャプチャも行った。キャプチャデータを用いた解析の結果、充分なタップ長の伝送路推定器を用いた4ダイバーシティ受信機は、誤り発生がマルチパスの影響を受けることなく受信電力のみで決定される、いわば準理想的な受信性能を実現できることが確認された。また、実フィールドでは512シンボルを越える長遅延のマルチパス成分がしばしば存在することが確認された。

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4.調色・調光型有機EL照明の開発

大下勇

【要旨】

筆者らはホール注入層に塗布型材料を導入し、世界初の調色・調光型有機EL照明を開発した。パネルは発光エリアサイズが123.1 mm×123.1 mmで、発光特性は白色1,000 cd/m2で寿命Typ8,000時間(LT70;輝度が初期から30%減衰するまでの時間)、発光効率311 m/W、演色性Ra=84。発光層は蒸着法によりR/G/Bストライプに塗り分けて調色が可能である。モジュールは通信機能を備え、国際標準規格DMX512-A制御及びDALI制御により、多様な光演出ができる。なお、新機種も順次開発した。初代機種と同じパネルサイズに加えて、回路基板分離型やパネルサイズ小型版もラインナップに揃えた。この新機種は発光層をR/Y/Bにすることにより、白色2,000 cd/m2で寿命Typ8,000時間(LT70)、発光効率501 m/W(1,000 cd/m2時)を実現した。

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5.溶液プロセスで作製した有機EL駆動用有機トランジスタアレイ

原田千寛、秦拓也、中馬隆、石塚真一、吉澤淳志

【要旨】

インクジェット塗布で形成した有機半導体層をもつ3インチQQVGA有機トランジスタアレイを開発した。電極以外の層は全て溶液プロセスで形成した。作製された有機トランジスタはヒステリシスなく良好に動作し、移動度0.45 cm2/Vs、閾値電圧3.3 V、オンオフ電流比106の特性を得た。さらに、このアレイを用いて有機ELディスプレイをアクティブ駆動し、良好な動画表示を確認した。

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6.Adaptive MFCによる電気自動車のアンチスリップ制御

加藤正浩、殷德軍(慶應義塾大学)

【要旨】

インホイールモータを搭載した電気自動車の走行性能を向上させるため、路面状態に適応したトラクション制御システムを開発した。走行中のスリップ率と路面摩擦係数を推定し、それらの値より、制御システムのフィードバックゲインと時定数を適応的に生成する。シミュレーションと走行実験を行い、通常の路面状態では高い加速性能を持ち、滑りやすい路面状態ではタイヤのスリップを抑制することを確認した。加えて、この制御をプローブカーシステムへの適用について考察を行った。

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7.円周配列した高密度パターンとナノインプリントモールドの作製

岡田健見、藤森二郎、田中浩、北原弘昭、飯田哲哉

【要旨】

円周配列した高密度パターンの作製は、次世代の大容量ハードディスクや光ディスクの実現に重要である。本報告では、回転ステージ型電子線描画装置を用いて電子線リソグラフィーの高解像度化プロセス技術を検討した。現像条件、成膜基板、レジスト種類を変更することで1.0Tdots/in.2までの円周配列した高密度パターンを作製することができた。さらにリフトオフ法を用いることで、ナノインプリントに用いられるマスターモールドおよび石英複製モールドの作製を行った。

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8.画像認識性能を改善する高精度な特徴量抽出手法の検討

井上俊明

【要旨】

各種のカメラ搭載機器の急速な普及に伴い、撮影・蓄積された画像を有効に活用する画像認識技術への期待が高まっている。特に近年、画像中のさまざまな物体を認識する、一般物体認識技術の研究が盛んに行われるようになった。一般物体認識では、画像の見えの変化に比較的頑強なSIFTやSURFなどの特徴量抽出手法が広く用いられているが、高い認識性能を得るためには、これらのさらなる高精度化が効果的である。そこで本報告では、SIFTに注目した高精度化手法を提案する。従来のSIFTでは、画像から特徴点を検出するためにDoGフィルタを用いていたのに対し、本提案では、DoGフィルタの代わりにウインドウサイズを固定した単純なラプラシアンフィルタを用いる。これにより検出精度を改善でき、かつ再現性のあるより多くの特徴点を検出できることがわかった。公開画像を用いて本提案の有効性を評価した結果、従来のSIFTやSURFと比較して再現性が改善され、また画像照合に応用した場合にも照合精度が改善されることを確認した。

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