1999年技術論文

1.車内前方定位音響システムの開発

総合研究所 音響システム研究部
太田佳樹、馬場輝夫、鈴木康悟、小谷野進司

【要旨】

現在のカーオーディオシステムは、特殊な再生音場に対応するため多数のスピーカを用いた再生方式が一般的になっている。このために、不安定な定位、座席による音質の変化、低音域でのモードによる圧迫感等が起こり良好な再生音が得難い.これらの問題を解決するために、ダッシュボード上のみのスピーカ配置、HAAS効果を利用した定位制御、アクティブなモード制御を適用し一般の部屋で聴くような音像の前方定位、及び圧迫感のない自然な再生を可能とするカーオーディオシステムを実現した。

2.自動走行騒音補償装置の実用化応用

MEC技術統括部オーディオ開発部
木原久、加藤慎治郎、岩崎明

【要旨】

車両で走行中に音楽を聴く時は、エンジン音、ロードノイズ、風切り音等の常に変化する車両騒音により音楽がマスキングされるため、一定の音量感で聴取するために運転者は頻繁にボリューム操作を行う必要がある。この煩わしさを軽減するために、DSP ICを使用して補償特性を実現しトヨタセルシオ(レクサスLS400)等車両ごとに最適となるような自動走行騒音補償装置の検討を行った。日本・北米を始めとする各地域で走行試験を繰り返し、さまざまな道路条件や走行環境に応じてシステムをチューニングした結果、あらゆる条件下で常に最適な音楽聴取を実現できた。

3.BGM・リラクセーション用サウンドエフェクトの試み

佐藤 宏、安士 光男

【要旨】

音楽療法の臨床経験が長い心療内科医より、「リラクセーションには遠くから聞える音が良い」という示唆を受け、音が遠くから聞えて来る様に感じさせる効果を持つサウンドエフェクトを開発した。このエフェクトはリヴァーブレータをベースとした構成で、低域と高域の残響時間を中域のそれより短くし、さらに残響の密度も一般的なリヴァーブレータより小さくする事で、上記の効果を得た。更に筆者らは、このエフェクトの生理学的効果を評価するため、エフェクトを施した音、およびエフェクトを施さない音を被験者が聴取している時の、心拍およびその変動(HF、LF/HF)を測定した。測定の結果、エフェクトを施した音を聞かせた時の、被験者の心拍、および LF/HFは、エフェクトを施さない音を聞かせた時に比べ、有意に低かった。これらの結果は、今回考案したサウンドエフェクトが、鎮静効果を持つ可能性を示唆している。

4.ドルビーディジタル(AC-3)民生用エンコーダ

岩村宏、寺尾恭一、山崎博司、中村浩、河原哲也、辻幸一郎

【要旨】

ドルビーディジタル民生用エンコーダ(DDCE-Dolby Digital Consumer Encoder)は、業務用エンコーダ技術をベースに、ローコストでの実現を目標として規格化された。筆者らは、DDCEをDVDビデオレコーダのリアルタイム録画に対応させたファームウェアを開発し、DDCEとして世界初のドルビー認証を獲得した。また、ビデオレコーダー用DDCEは、汎用DSPとメモリーで実現した。

5.エフェクタ EFX-500の開発報告

山田洋一、船田健明、礒部広幸

【要旨】

DJがライブで使えるようなエフェクタを開発した。本製品の開発では、各方面からDJに関する意見を求め、それに基づいて仕様を決定した。
本製品ではさまざまなエフェクトをDSPを用いて実現した。
本稿では、製品の構成や機能、そして設計過程での課題の対応について、DSPによる信号処理を中心に報告をする。

6.DVD-Audioフォーマットの概要

澤辺孝夫、山本薫、天満哲也

【要旨】

DVD-AudioフォーマットはDVD-ROMフォーマット上にオーディオアプリケーションフォーマットを規定したものである。DVD-Videoフォーマットとの互換性を確保しつつ、新時代オーディオディスクメディアフォーマットとしてDVD特有の特徴や機能を実現している。当社はDVDフォーラムのコアメンバーとしてこのDVD-Audioフォーマットの策定に携わってきた。本稿にその概要を示す。

1.カーナビゲーションシステムのプラットフォーム

金子道浩、鈴木清美

【要旨】

地図メディアにDVD-ROMを使用したカーナビゲーションシステムのためのプラットフォームを開発した。ハードウェアでは、メインCPUと描画表示LSIなどの高性能素子を採用し、各種I/O機能などを集積したASICを開発した。システムソフトウェアでは、リアルタイムOSを採用し、BIOSソフトを開発した。従来モデルよりも、小型で多機能なカーナビゲーションシステムが実現できた。

2.位置認識

金子一嗣

【要旨】

カーナビゲーションにおける最も基本的な機能である「自車位置の認識」について、GPS-受信機、自立センサー、マップマッチングの3つの部分に分けてそれぞれの最新技術について述べる。
GPS部分では、新開発の精度専用チップを使用して、処理の高速化とリアルハイブリッド処理を実現している。また自立センサー部分では道路形状の高低差を検出する3Dハイブリッドセンサーを搭載している。これは従来のジャイロセンサーに新たにGセンサーを加えることで道路の傾斜を検出できる様にしたものである。最後にマップマッチング部分では従来からの可変複数候補方式に加え、上述の3Dハイブリッドセンサーの出力を用いて、一般道と高速道路などが並行して重なっているような道路形状でも、正確に自車位置を把握することが可能である。
上述の最新測位技術を用いてAVIC-D9000系の商品において、高速処理により1秒間に4回の測位を可能とした4Hz測位や、実用精度として5 m以下の超高精度の要求される、10 mスケール表示、ドライバーズビュー表示などの高拡大率の地図表現を実現している。

3.車載用TVシステムの開発

石津和紀、岩生佳明、志村貴裕、原陽一、山口孝昌

【要旨】

車載用TVの映像品位の向上と高機能化を目的に商品開発を行った。
映像品位の向上に関しては、弱電界対応やインテリジェントディマー機能を開発、採用した。高機能化に関しては二画面、マルチ画面表示機能を実現させた。

4.TFTカラー液晶モニタを使用した車載用高画質ディスプレイの開発

岩生佳明、佐々木忠、佐藤直樹、志村貴裕

【要旨】

TFTカラー液晶を使用した車載用ディスプレイを開発した。開発に際しては、以下の点に着目して高画質と見やすさを実現した。
1. 画面輝度
2. 色再現性
3. ガンマ特性

5.AVIC-D9000シリーズにおける音声認識ミドルウェアと
音声認識ヒューマンインターフェースの開発

小野浩一、藤田育雄、岩田孝洋、齋藤宏、羽生田隆

【要旨】

不特定話者音声認識ミドルウェアを新規開発し、今春発売したAVIC-D9000シリーズ・ カーナビゲーション・システムに搭載した。
車載時の騒音環境下での認識率向上の施策として、音声区間の切りだしアルゴリズムの改良、音声モデルの改善、数字専用モデルの採用、話者環境適応の導入について述べる。
またミドルウェア化するにあたりレスポンスの低下が懸念されるが、従来機種程度の応答速度を確保することを目標として、様々な高速化への改善を行った。
最後に今回の機種での音声認識ヒューマンI/Fの特徴をあげ、大語彙認識の活用、施設名称ダイレクトスタート、連続数字認識による電話番号入力などを紹介する。

6.カーナビゲーションの描画システムの開発

荒川丈晴

【要旨】

カーナビゲーションの描画処理の高速化、描画アルゴリズムの最適化の開発を行った。その結果、視認性、操作性などに優れたカーナビゲーションの製品を市場に導入することができた。

7.カーナビゲーションにおける地図描画処理発

望月桂輔、西田宗祐

【要旨】

スクロール動作を、従来の製品より快適に動作させるために、グラフィックチップ(Q2SD)の機能を活用した新しいスクロール方法を考案した。この方法により、地図が欠けない快適なスクロールを実現することができた。
また、他社との差別化の一環として、実際のドライバーの視線に近いイメージを表現したドライバーズビュー、実際の高さデータを基に建物群を3次元表現したビジュアルシティマップの2つの新しい地図描画方式を開発した。これにより、視覚的に訴える魅力ある製品に仕上げることができた。

8.カーナビゲーションシステムにおける経路誘導

酒井晃

【要旨】

カーナビゲーションシステムの経路誘導アルゴリズムを開発した。本稿では、経路誘導処理全体の流れの紹介と、案内地点の選出方法を中心に述べる。案内地点の選出方法については、具体的な例を示してより詳しく述べている。本稿の方法によって、以前の手法を用いた経路誘導に比べ、わかやすい誘導ができるようになった。

9.DVDメカモジュール 「MS1」

佐藤健、石田信夫、猶原真一、山崎仁志、若槻 憲司、内山賢治

【要旨】

第二世代DVDメカモジュール(MS1)を開発した。このMS1はDVD/CD-ROMのコンパチメカモジュールであり、2倍速再生・高速サーチという特徴をもっている。さらに液晶チルトサーボの採用により、市販ディスクのばらつきに対応できるようになった。また、第一世代比で-40%(容積比)の小型化も実現できた。

10.第二世代インターネットカーナビの開発

中野年章、畑野一良

【要旨】

リアルタイムに情報を取得できるインターネット接続を最大限利用しつつ、単なるPC用WWWブラウザ-のカーナビへの実装でない、カーナビ機能との自然な融合を目指した機能を実現した。
天気予報を地図に重ねて閲覧できる「ウェザーライブ機能」・最新の施設情報をインターネットから読み出す「ダイレクトインターネットアクセス機能」は、現状の通信インフラ・WWWページの広がりを最大限に活用したアプリケーションとして実現され、99DVDナビのセールスポイントとして市場で高く評価されている。

11.ITS技術の紹介

柏崎隆

【要旨】

ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は、現在の道路交通が抱えている問題を解決するものとして、期待されている。
日本では、9項目の開発分野が定義され、ITS実用化のための開発が行われている。「ナビゲーションシステムの高度化」「自動料金収受システム」「安全運転の支援」「交通管理の最適化」「道路管理の効率化」「公共交通の支援」「商用車の効率化」「歩行者等の支援」「緊急車両の運行支援」の9項目である。
本稿では、ITSの現在の状況を解説するとともに、当社のITSへの取り組みについて「ナビゲーションシステムの高度化」の分野を中心に紹介する。

12.「エアクラフトモニタ」の開発

足立真哉

【要旨】

ヘリコプターの位置を監視するソフトウェアを開発した。
このソフトウェアは、航空機用地図情報システム「エアマップ」から出力される位置データを基地局で受信し、電子地図上にその位置を表示する。さらにヘリTVシステムと組み合わせて、撮影された映像と撮影エリアを地図上に重ねて表示することができる。

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