1998年技術論文

1.MHEGビューアの開発

総合研究所 情報技術研究部
大森淳夫、出葉義治、渡邊一弘、田畑敏雄

【要旨】

MHEGフォーマットのマルチメディア情報を再生するMHEGビューアを開発した。動画(MPEG)、静止画(JPEG、BMP)、音声(WAVE)、文字(ASCII、JIS X 0208)などから構成されるマルチメディア情報を画面上のボタンなどにより対話的に再生できる。

2.ケーブルモデムシステムの開発

研究開発本部情報通信開発センター
高橋宏二

【要旨】

CATV幹線網におけるデータ伝送システム、ケーブルモデムシステムの開発を行った。
開発したシステムは、CATV技術と多値ディタル変復調技術を用いた新規アプリケーションである。
本システムの主な仕様は、
・非対称型FDMAマルチキャリア方式

下り

変調方式:64QAM方式(6MHz帯域:ITU-T SG9準拠)
データレート:31.644Mbps
データ多重:TDM方式

上り

変調方式:QPSK(100KHz帯域)
データレート:128kps
データ多重:FDMA方式

で、IP接続に対応した独自MACプロトコルを採用したケーブルモデムシステムである。

3.CD-R/DVD-R チェンジャを用いた
ファイルサーバーシステムの開発

AV開発センター応用システム部
佐藤浩一、渡辺知男、吉田晋也、小田亮、永野義和、高橋博行

【要旨】

CD-R/DVD-Rライタを内蔵したチェンジャを利用してファイルサービスを 行なうサーバーシステムを試作した。ユーザは、ネットワークを介して、大容量のハードディスクのように利用することができる。
記録メディアとしてDVD-Rを使用した場合、100枚チェンジャで約400 Gbyte(ギガバイト)、500枚チェンジャで約2 Tbyte(テラバイト)の容量のストレージになる。

4.MPEG-4ビデオの概説

総合研究所 ディスクシステム研究部
中村毅

【要旨】

MPEG-4は1998年12月の国際標準化を目指して作業が行われている。
本稿ではまずMPEG-4の基本の概念となるAVO (Audio/Visual Objects)について説明する。従来のように画像・音響全体を符号化対象として捉えるのではなく、その構成オブジェクトに着目し、個々に独立かつ最適に符号化を行う.この新しい発想により、MPEG-1/2では実現できない新しい機能を得ることができる。
次にMPEG-4のビデオ符号化について説明を行う。任意の形状を持つAVOの機能を実現するために、MPEG-4ビデオ符号化では形状情報を扱う必要がある。そのための形状符号化について、そして形状情報が影響を及ぼす動き補償やテクスチャ符号化についても説明をする。
最後にMPEG-4の現状について補足をする。

5.エージェント技術の紹介

情報通信開発センター
莪山真一

【要旨】

近年、"エージェント"をソフトウェア技術に応用しようとする動きが活発化している。そこで本報告では、最近のエージェント技術の動向と、その標準化を目指すFIPA(Foundation for Intelligent Physical Agents)の活動を紹介する。

6.通信カラオケネットワークシステム

ビジネスシステムカンパニー
システム第一技術部 白坂真一
経営統括室 浦松尚之

【要旨】

公衆回線網を介してセンターホストからMIDIフォーマットの曲データを各端末へ送信しするとともに、各端末から各種アカウントデータ(曲演奏度数など) をセンターホストに受信する通信カラオケシステムを開発した。
複数の配給会社、販売会社で使用するシステムなので、
  1. 低コストでの運用
  2. データのセキュリティ
  3. 信頼性・安全性
の実現を開発目標とした。
本システムは
  1. 曲の配信・データ管理・アプリケーション管理などを行うセンターホスト
  2. 全国の各地域に設置し、センターホストと各カラオケコントローラーと中継処理を行うサブホスト
  3. 選曲や曲データの演奏を行うカラオケコントローラー
  4. センターホストデータの照会・登録・更新を行う情報照会端末装置
で構成されている。
また、本システムの主な特長は
  1. ハードディスク内蔵カラオケコントローラー装置に対する、曲データ定期配信・格納による低コスト、選曲応答の高速化
  2. センターホスト集中管理による運用コストの削減、サブホスト中継による通信コストの削減
  3. センターホストを配給元別に、データー管理、アプリケーション管理を行う・☆ぢハウス構造・を採用することによるデータのセキュリティー、安全性の確立
  4. 24時間稼働可能システム
である。
本システムは実用化されている。

1.ディジタル体積ホログラムメモリー

総合研究所 デバイス研究部
畑野秀樹、山路崇、田中覚、松下元、伊藤善尚

【要旨】

ディジタル体積ホログラムメモリー実用化に向けての最大の課題のひとつが記録材料の性能改善にある。筆者らは代表的なフォトリフラクティブ結晶であるLiNbO3単結晶の不定比欠陥とフォトリフラクティブ特性の関連に着目し、無機材研と共同で性能改善に取り組んだ。無機材研において2重るつぼ法により育成された定比組成LiNbO3単結晶は従来の一致溶融組成単結晶に比べて、記録感度が高く、すぐれた回折効率と低いビットエラー率を示すことをディジタルホログラム多重記録法によって確証した。定比組成LiNbO3の利点はを異常光配置において顕著にみられ、従来の一致溶融組成単結晶の常光配置に比べて記録時間にして約1桁の改善効果が得られた。
また小型デモンストレータを開発し、LiNbO3単結晶を用いてディジタル動画データの記録再生を行った。

2.電子ビームを用いた高密度マスタリング

総合研究所 ディスクシステム研究部
勝村昌広、北原弘昭、加園修、小島良明、和田泰光、飯田哲哉

【要旨】

次世代DVDシステムの開発に必要な高密度ディスクを作製することを目的として、真空対応エアースピンドルモータを搭載した電子ビーム描画装置(EBR)の開発を行った。

  1. 記録容量が約12ギガバイトのディスクを作製し、再生信号をレーザ記録と比較した結果、良好なジッタ特性を得た。
  2. 記録精度は現状のLBRと同程度の性能が得られた. 電子ビームを用いたマスタリングが可能であることを示した。将来のディスクがさらに高密度化された場合には有力なマスタリング技術である。

3.光退色性色素を用いた高密度光ディスクマスタリング

総合研究所 ディスクシステム研究部
樋口隆信、奥村陽一、飯田哲哉

【要旨】

光退色性色素を用いた光ディスクマスタリング技術を新たに開発し、次世代DVDの目標である、記録容量15ギガバイトの光ディスクを試作した。さらに、波長430 nmのSHGレーザ、開口数0.6の対物レンズ、および、クロストークキャンセラを用いた再生システムによって、記録容量15ギガバイトの試作ディスクの再生が可能になった。

4.液晶チルトサーボ

総合研究所 ディスクシステム研究部
大滝賢、村尾則明、小笠原昌和、古川淳一、立石潔、鈴木正則
デバイス研究部
岩崎正之

【要旨】

光ディスクの新しいチルトサーボ方式として液晶チルトサーボを開発した。本方式は従来の機械的チルトサーボに比べ

  1. 小型化
  2. 高速動作
  3. 高信頼性

を実現した。
ピックアップに搭載した液晶の位相を制御し、ディスクがチルトしたときに発生する波面収差を補償することで、再生データの読みとり精度を向上させている。
波面収差の補償は、液晶をチルト補正に最適にしたパターンで分割し、チルト角に応じて、液晶を個別に駆動することで実現した。
エラー検出にはチルト角と相関の強いRF信号の振幅変化を採用し、これをフィードバックすることによりサーボループを形成した。これによりチルトセンサーが不要なチルトサーボが可能となった. 開発した液晶チルトサーボ方式を用いてDVDを再生し、ラジアルチルトマージンを±1.5度以上を確保できることを確認した。

5.クロストークキャンセラを用いた高密度再生システム

総合研究所 ディスクシステム研究部
宮鍋庄悟、栗林祐基、山本 薫

【要旨】

次世代のDVDの大容量化のために、隣接トラックからのクロストークを除去するクロストークキャンセラ(以下、CTC:Cross Talk Canceller)について検討した。
3つのビームを用いて隣接する3トラックを同時に再生し、隣接トラックの信号から擬似的なクロストーク信号を生成し、中央のトラックの信号から減算することによりクロストークを除去した。
現行DVDと同一の記録フォーマットで、従来よりトラックピッチを狭くして記録したディスク(トラックピッチ0.37 μm、最短ピット長0.25 μm、記録容量15 GB)を、青色SHGレーザ(波長430 nm)を用いたピックアップで再生し、ジッタを測定した。
その結果、CTCを適用することにより、ジッタとチルトマージンは大幅に改善され、現行DVDと同程度のチルトマージンを確保できることを確認した。

6.DVD2層ディスクのプロセス開発

パイオニアビデオ(株)ディスク生産部 技術1課
藤森二郎、本川昌明、丸山治久

【要旨】

DVD片面読み取り2層ディスクの生産方法としてPVC独自のディスク構造とプロセスを開発した。
Au半透過膜は付着した異物が原因で機械的な破壊が発生することがわかった。Au膜の信頼性のため保護層を設けた。
中間層は高透明性粘着シートで構成するフィルム接着構造とした。光学特性も含め、再生特性は規格を満足することができた。特に中間層厚の均一性が特徴である。
接着工程で発生する気泡欠陥に対し、フィルム・液体併用接着方法を開発し、真空プレスおよびエアー加圧処理により良好な結果を得ることができた。
信頼性試験の結果、電気特性・反射膜劣化・反り角変化は軽微で、ディスクの信頼性を十分確保していることを確認した。

7.DVD-RW(ReWritable)ディスクの開発

AV開発センター 記録機構開発部
神野智施、富樫孝宏、山口政孝、工藤秀雄

【要旨】

我々はDVD-Rシステムの拡張として、DVD-ROMプレーヤでの再生が容易な書き換え型光ディスクDVD-RW(ReWritable)の検討を行った。結果、反射率はDVD-ROM2層ディスクの規格値(Rtop≧18%)を満たし、DVD-R(3.95 GB/面)と同等な信号特性をもつディスクが得られた。基本特性はグルーブ記録方式で変調度≧60%、ジッタ≦8%、オーバーライト可能回数は1000回、位相差トラッキング信号Δt/T≧0.5、データ容量3.95 GB/面である。また、DVD-ROMと同容量である4.7 GB/面へ向けた高密度記録の可能性も得た。

8.DVD-R追記システム及びDVD-RWシステムの開発

AV開発センター記録機構開発部
吉田昌義、下田吉隆、石井英弘、井上章賢

【要旨】

追記機能を有するDVD-Rシステムを開発した。また、同形式のプリフォーマットを有するDVD-RWディスクへの記録再生を行うDVD-RWシステムを開発した。このシステムで記録したDVD-RディスクもしくはDVD-RWディスクがどちらも、当社市販のDVDビデオプレーヤで再生できる事を確認した。

9.DVD-R フォーマットの概要

AV開発センター 応用システム開発部
鈴木 敏雄

【要旨】

3.9 GのDVD-Rフォーマットが"DVD Specification for Recordable Disc Version 1.0"として、1997年7月に発行された。
規格書は物理フォーマットを記載してあるPart1と論理フォーマットを記載してあるPart2の2部構成になっている。

10.簡易DVD-VIDEOオーサリングシステム

AV開発センター 応用システム開発部
多田謙一郎

【要旨】

今後のDVD-R商品の展開の一つとして、簡易DVD-VIDEO オーサリングシステムを提案する。簡易DVD-VIDEO オーサリングシステムとはパーソナルコンピュータ(PC)とDVD-Rドライブなどを用いて、操作の簡単なソフトでDVD-VIDEOを作成するものである。これによって、家庭のビデオなどを簡単にDVD-VIDEOにすることができる。試作ではPCとDVR S-101を用いて簡易DVD-VIDEOオーサリングシステムを構築し、その操作ソフトを開発した。
また、試作ソフトウェアによってDVD Discを作成し、現在市場に出ているDVD Playerでの再生を確認した。

11.簡易DVD-VIDEOオーサリングソフトの応用
-DVD-VIDEO Photo Album オーサリングシステムの提案-

AV開発センター 応用システム開発部
多田謙一郎

【要旨】

今後のDVD-R商品の展開の一つとして、静止画をDVD-VIDEO[1]に記録しスライドショーを実現するための、静止画オーサリングソフトを提案する。この静止画オーサリングシステムは、家庭の写真やイメージデータなどを簡単にDVD-VIDEOにすることができる。このシステムは静止画に任意の音声データを付加することができる。従って、このシステムによって制作されたディスクは、静止画をスライドショーとして再生することができる。この試作ソフトウェアによってDVD Discを作成し、現在市場に出ているDVD Playerでの再生を確認した。

12.DVDナビゲーションシステムの開発

MEC 川越事業所 第3商品開発部
榎本清、鈴木清美、鈴木孝司、小林数男、靱矢修己、松田則夫、森永二郎

【要旨】

DVDナビゲーションシステムを実用化した。
全国の地図と関連情報、およびディスクに対応した機能を実現するプログラムをDVD片面2層ディスク1枚に収納した。一方、本体側は、

  1. DVD-ROMドライブ
  2. カーコンピュータシステム
  3. 精度の高い絶対位置・相対位置の検出、および測位演算
  4. 熱・雑音を考慮した実装

などを開発し、上述のディスクに記録されている大量のデータを高速に処理するとともに、測位精度の向上などを実現し、ナビゲーションの機能を本体に内蔵し、一体化することで、装着性の優れた商品として市場導入した。

1.高効率電子放出素子(HEED)の開発

総合研究所 デバイス研究部
中馬隆、秦拓也、岩崎新吾、根岸伸安、山田高士、吉澤淳志、伊藤寛、佐藤英夫、吉川高正

【要旨】

従来の冷電子放出素子に比べ、非常に高い電子放出効率と電子放出電流を持つ素子を見出した。この素子は、Pt/SiOx/Si/AlというMIS構造であり、Si膜およびSiOx膜の膜厚がそれぞれ5 μm、400 nmと非常に厚い点に特徴を持ち、一般的な成膜技術で容易に作製できる利点を持つ。筆者らは、この素子を高効率電子放出素子(HEED=High Efficiency Electron-Emission Device)と名付けた。将来的にはフラットパネルディスプレイや真空マイクロエレクトロニクス素子への応用が期待できる。

2.T字型電極による面放電型AC
-PDPの高効率・高精細化・高コントラスト化

ディスプレイセンター PDP第2技術部
野津光孝、安喰博之、田中幸男、雨宮公男、西尾隆

【要旨】

面放電型AC-PDPにT字型電極セル構造を採用した40インチVGA、高精細50インチワイドパネルを開発した。T字型電極構造と微弱リセット放電駆動の組み合わせにより、40インチVGAで1.2 lm/W、50インチワイドで1.0 lm/Wの高発光効率、150:1の高コントラストを実現した。また上記の構造を生産可能な高精細プロセスを開発し、量産、製品化を実現した。

3.50インチAC型ハイビジョンPDPの開発

ディスプレイセンター PDP第1技術部 小口富弘
ディスプレイセンター PDP第2技術部 宮崎春仁、三枝信彦

【要旨】

ハイビジョン対応の高精細・高画質PDPを実現するために、「高速アドレス駆動」「疑似輪郭妨害低減」等の基本技術を開発した。その結果、世界初の50インチハイビジョンPDPを製品化することができた。

4.有機ELディスプレイ

東北パイオニア株式会社 開発技術本部 第一開発部
仲田仁

【要旨】

有機ELディスプレイは、自発光型のディスプレイであり視野角が広い、コントラストが高い、応答速度が速い等の特徴を有する。
筆者らは、有機EL素子の特性を改善すると共に、ディスプレイを実現するのに必要ないくつかの要素技術を開発した。

  1. 逆テーパー形状の隔壁を用いた有機ELディスプレイの陰極のマイクロパターニングプロセス.
  2. 信頼性の高い封止技術。
  3. ディスプレイパネルのコントラストの改善のための円偏光フィルターの導入。
  4. 新規に開発したドライバ及びコントローラIC。

本稿では、これらの技術について述べる。

5.有機ELドットマトリクス表示体用駆動回路の開発

総合研究所 ディスプレイ研究部
奥田義行、越智英夫
東北パイオニア(株)開発技術本部
森谷彰

【要旨】

有機EL発光素子を用いた256×64画素のドットマトリックス表示体を駆動するシステムと回路を開発した。駆動の弊害となる素子の寄生容量の影響を克服するため、陰極リセット法を考案し、表示輝度100 cd/m2、フレームレート約100 Hz、2 bit階調表示を実現した。あわせてシステム全体のIC化、モジュール化を行い、現在東北パイオニア(株)において製品化されている。

6.反射型液晶パネルを用いた液晶プロジェクタの開発

研究開発本部
佐藤文規

【要旨】

反射型液晶パネルを用いた高輝度・高精細プロジェクタを開発した。このプロジェクタは、新開発反射型液晶パネルDRI(Digital Reflective Imaging)、反射型光学系の開発により実現した。

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