コラムパイオニア吹奏楽団

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第81回 歌劇の枠を超えた「ローエングリン」

2016年 3月 8日

当団の第26回定期演奏会が無事終わりました。当日は天候にも恵まれ、多くの方々にご来場いただきました。誠にありがとうございます。

さて、その第26回定期演奏会では「エルザの大聖堂への行列」をお送りしました。この曲は19世紀のドイツを代表する作曲家であるヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナーの歌劇「ローエングリン」の中に登場する曲です。歌劇の第2幕で、ブラバントの王女エルザが従者ら共にローエングリンとの結婚式のために大聖堂へと向かうシーンで演奏されます。後にルシアン・カイエによってこの「エルザの大聖堂への行列」を抜き出した形での編曲が行われ、特に吹奏楽版は頻繁に演奏されています。

ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー
「ローエングリン」をはじめとして数々の歌劇を残している

「ローエングリン」に登場する曲としては、他に「婚礼の合唱」が有名です。俗に「結婚行進曲」と呼ばれるもので、結婚式では定番化しているものです。「結婚行進曲」としては、この欄でも取り上げたことがあるように、他にメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」に出てくる「結婚行進曲」も知られていますが、どちらも甲乙付けがたいほどに名曲です。いずれにせよこのように結婚式で定番化しているのは曲自体の魅力があるからと言えます。

「婚礼の合唱」と共に「第1幕への前奏曲」も広く知られています。CMなどでも使われていますが、特に有名なのがチャップリンの名作「独裁者」でのシーンです。「独裁者」では最後の方で主人公ヒンケルが映画のハイライトとなる演説をしますが、そのバックに「第1幕への前奏曲」が流れます。ヒンケルのモデルとなったヒトラーはワーグナーの大ファンだったことで知られますが、チャップリンがそれを意識して「第1幕への前奏曲」を採用したのかどうかは分かりません。ただ、結果的に映画史に残る名場面に「ローエングリン」が寄与したことは間違いないところでしょう。

また「第3幕への前奏曲」も有名です。前述の「独裁者」でも登場するほか、様々なところでバックミュージックとして使われており、たとえオーケストラとして聞いたことがなくてもフレーズに触れれば分かるほどです。当団と並ぶ社内の音楽団体であるパイオニア合唱団も演目として取り上げたことがあります。

「ローエングリン」の場面を描いた絵

このように見てくると、「ローエングリン」は単なる歌劇の枠を超えて多くの影響を与えていることが分かります。「ローエングリン」の素晴らしさもさることながら、やはりワーグナーの偉大さが分かろうかというものです。今回の演奏を通じて当団としても改めて認識した次第です。

今回の定期演奏会での「エルザの大聖堂への行列」の演奏はお客様から大変好評でした。先に述べた「婚礼への合唱」、「第1幕への前奏曲」、「第3幕への前奏曲」は、「エルザの大聖堂への行列」と同様にいずれも吹奏楽版として独立した形で演奏されることがありますので、当団としてもまたワーグナーの作品について機会があれば是非取り上げることを考えてみたいものだと思います。

文責:磨墨

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