研究開発

光バイオセンシング技術

近年、生活習慣病の予防など健康志向の高まりにともない、代謝や疾病と関係する揮発性化合物を含んだ生体ガス(呼気・皮膚ガス)による、非侵襲かつ簡便な身体の状態評価が注目されています。人間は多くの場合糖からエネルギーを得ますが、有酸素運動をした場合や、糖尿病疾患でインスリンが不足する場合には、脂質を分解してエネルギーを得るようになります。アセトンは、脂質の代謝分解により血中に産出される代謝産物であり、揮発性が高いことから速やかに肺から呼気に排出されます。つまり、呼気中のアセトン濃度は脂質代謝の度合いを反映する為、運動や糖尿病患者のコントロール状況の指標になるものと考えられます。

当社は、東京医科歯科大学・生体材料工学研究所の三林教授と共同で、光バイオセンシング技術を用いた高感度アセトンガスセンサの研究を進めています。本技術は生物由来の酵素を利用することで、呼気中の他の揮発性化合物の干渉を受けずに、アセトンのみを蛍光量の変化から高感度に計測できます。アセトンと反応する蛍光溶液として還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)溶液を用い、溶液と測定ガスの双方に接するように二級アルコール脱水素酵素(S-ADH)を塗布した膜を配置します。アセトンガスが酵素膜に到達すると、酵素反応により蛍光を放つNADHが減少し、蛍光特性を示さないNAD+が生成されて溶液の蛍光量が減少します。この微小な蛍光変化を高感度光検出器で捉えることで、アセトンガスの濃度を計測することが可能となります。

光バイオセンシング原理

光バイオセンシング原理

本技術は、糖尿病患者のコントロール状況や、健常者の脂質代謝評価等への応用が期待されています。当社では、これまで光ディスク開発で培った微弱な光信号を取り扱う光技術と信号処理技術を活用し、光バイオ方式のセンサモジュール化や小型・高性能化の研究に取り組んでいます。

呼気アセトン計測用高感度光バイオ方式センサモジュール

この光バイオセンシング技術は、2018年9月18日(水)から名古屋国際会議場にて開催された「第79回応用物理学会秋季学術講演会」において発表しました。

報道資料(東京医科歯科大学とパイオニア 呼気アセトン計測用の高感度で小型な光バイオ方式センサモジュールを共同開発)