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新PRSスピーカー 開発ストーリー

音源に込められた作者の想いをありのままに伝えたい。
より自然な音場空間と音の実像感を伝えたい。
10年の時が経ち開発者の熱い想いが「音」となった。
それは決して簡単な道のりではなかった。
幾千ものシミュレーションを繰り返し、
たどり着いた答えのひとつは
パイオニアの高級オーディオブランド「TAD」。
そのコアテクノロジーである点音源再生を可能とする
「CSTドライバー」を採用することであった。

「Open & Smooth」のさらなる追求

通常クルマで音楽を聴く場合、家の環境と比べて狭く、音の反射と吸収が多いので、ステージ感や定位感を楽しむには必ずしも良い環境であるとは言えません。そんな車室内においても自然な音場空間と音の実像感をより多くの人に楽しんでほしいという思いが開発へのきっかけとなりました。
そこで車室内という自由度の低い環境下でその課題を解決するには、TADのコア技術であるCSTドライバーにあるのではないかと考えました。
CSTドライバーはTADのコア技術であり中域と高域の音源が一致した1つのポイントから、広帯域に渡って指向性をもコントロールした音を再生させるために作られた技術の結晶だからです。
新PRSスピーカーは音像と音場を高次元で両立させるという考えのもと、新しい技術を用いることで共振の鋭さを抑制。大きなピーク・ディップなく受け持つ帯域を振り分け、それぞれのユニットで分割振動をなるべく使わずにピストンモーションだけで音を再生させて各ユニットをつないでいくよう設計しました。
また、ネットワークにおいても、トゥイーターとミッドレンジのクロスオーバーがどこにあるかわからないほどスムーズなつながり(f特、指向特性)を実現。音場の広がりとともに奥行感を正確に表現させるために、シミュレーション結果の数値と試作品の試聴を繰り返し行い、TADの考え方を参考にしながら方向性を導き出しました。

CSTドライバーとの格闘の日々

2018年夏からカースピーカーへのCSTドライバーの採用を検討しはじめ、合計で2年の開発期間を費やしました。
まず、CSTドライバーを車室内で使うメリットは大きく分けて2つあります。1つ目はダッシュボードの非対称形状やガラスの反射がある中で、リスニングポイントがズレたときでも、軸上に近い周波数特性を持つこと。2つ目はトゥイーターとミッドレンジを1つのユニットに収めることで単一ユニットからの再生帯域が広くすることができ、同時に取付性の向上を図れます。つまり、今までのフロント3ウェイシステムのような取付場所への制限がなくなり、シートポジションを調整しても軸上と同じ音が楽しめるということです。
そのメリットを最大限に発揮させ、目指している音を出すためには各ユニットが受け持つ帯域ごとの最適な素材選びと形状からくる性能の調整が重要なポイントでした。そこで行き着いたのが、ミッドレンジはウーファーと同じカーボンプリプレグ、トゥイーターはアルミニウム合金の組合わせが様々な検証から最適なつながりになると判断しました。
また、トゥイーターの共振を抑えるため、TAD同様に頂点駆動方式を採用し、かつダイアフラムへもダンプ材を塗布しました。この時、いずれの工程も接着剤の塗布量と塗布位置は、わずかな誤差で大きく特性に影響するため、最適な条件にたどり着くまで幾度となく試行錯誤を繰り返しました。また、量産にあたり、厚さわずか1mm以下のダイアフラムのフラット部に正確に塗布する精度と一定時間で硬化してしまう2液タイプの接着剤を塗布するための作業スピードの2つの工程を、他のスピーカーよりも厳しく管理することが必要となりました。

スピーカーの性能を発揮するために

TADのコア技術を使うということもあり、試作品を作り始めるまでの約1年間、気が遠くなるほどのシミュレーションを行いました。トゥイーターやミッドレンジ、ネットワーク、各ユニット単体および組合わせた状態のパターンの計算、さらにネットワークの特性を含めたシミュレーションを行いまとめ上げました。
また、取付性も考慮しつつ音質を担保しながら小型化することが重要なポイントでもあったことから、安定した量産体制を作るために開発初期段階から生産部門にも参画してもらい精度と作りこみの工程を詰めていきました。
その成果の1つがトゥイーターとミッドレンジの隙間を0.34mmまで狭くできたこと。CSTは小型化が必須とはいえ必要なバックチャンバーの容積を確保しなければなりません。できるだけ小型化を目指しつつチャンバー内の共振処理を施して製品として成り立たせることができたのは、製造側の努力の結晶でもありました。
試作後は数値がシミュレーション通りなっているかの検証となりますが、思い通りにいかないことも多く、目指す音に対して細かい部分で何が足りないのかを素子解析に立ち戻り、試作を繰り返しました。振り返れば細かな塗り物の調整を含め、試作も100パターン以上の検証をし、変更の度に試聴を行いようやく商品化までたどり着くことができました。

最後に

企画者や設計者は「どんな音源や楽曲を聴くのがこのスピーカーの能力を十分引き出せますか」と聞かれることが多いです。私たちは「原音再生」という理念のもと、この商品には「自然な音場と音の実像感」をいかに表現するかに注力してきました。
超広帯域を各ユニットで周波数特性がフラットな状態、かつ実像感までも耳に届けるということは「臨場感だけではなく各楽器や演奏者、ボーカルの距離感までも、あたかもそこに在るように感じる」「目を閉じて手を伸ばせば掴めてしまう」そんな音を求めて作りました。私たち制作者の想いと共に、このスピーカーで思う存分、音楽を楽しんで頂ければ幸いです。

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