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スピーカーを薄くする。この実現不可能と思われていた難題を解決したのが、ボイスコイルの水平方向の動きを垂直方向に変える「HVT(Horizontal-Vertical Transforming)方式」です。水平の動きを垂直方向の動きに変換させるリンク機構を用いることで、駆動部(ボイスコイル・磁気回路)を横に逃がして設置することが可能に。これによって、一般的なスピーカーと同じ振幅と音質を確保したまま大幅な薄型化を実現できたのです。 |
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「HVT方式」の開発は「スピーカーをもっと薄くできれば、スペースの限られたクルマでも自由に取付けられる」という、スピーカー作りに対する技術者の開拓者精神から始まりました。しかしスピーカーは元来、大きな振動を生み出すために奥行きのある構造を持ち、薄さと高音質を両立するのは技術的にも困難とされていました。 |
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「HVT方式」の開発においては、従来のスピーカーの部品が流用できないため、構成するパーツをすべて手加工で試作することからスタートしました。 |
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数えきれないほどの試行錯誤を繰り返し、音を聞いてみる気になるスピーカーのレベルになったのは、試作を始めてから約6ヵ月後。 |
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それからさらに3年の研究開発期間を経て、2010年1月、世界初の「HVT方式」を採用した最初のモデル「TS-STH1000」の発売に至りました。 |
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その後、「HVT両面方式」の採用により360°全方向に音が広がる無指向性を実現したサテライトスピーカー「TS-STH700」、わずか19mmの薄さでダッシュボードと調和する薄型センタースピーカー「TS-CH700A」を発売。そして、かつてない自然な低域再生を追求した超薄型サブウーファー「TS-WH1000A」も発売されました。 |
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これらの不可能を可能にするチャレンジ精神と、それを実現する技術力は、これからの新製品開発にも受け継がれていきます。 |
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不可能だと思われていた薄型化の糸口は思わぬところにありました。開発者の子供が読んでいた「飛び出す絵本」。ページを開くと立体的に飛び出す絵が、「ヨコの動きをタテに変える」という「HVT方式」が基本原理のきっかけとなったのです。 |
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「HVT方式」を採用したスピーカーは、その薄さを活かして、ピラー部やダッシュボード、シート下などの様々な場所に取付可能。取付位置の自由度が増加したことで、より多くのクルマで高音質再生を楽しむことができます。 |
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一般的にスピーカーの音は、正面方向に向かう「指向性」という特性を持っていますが、両面駆動による「HVT方式」では、音がスピーカーの両面から球状に広がる「無指向性」を実現しました。そのため、スピーカーの位置や向きに影響されずに、どのシートでも同じ聴き心地で音楽を楽しむことができます。 |
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全高わずか4.5㎝という超薄型ボディを実現した、パワードサブウーファー「TS-WH1000A」。 HVTユニットの採用により、シート下というわずかな隙間への設置も可能となりました。さらにこれからも、車室内における絶対的なスペース制約の問題を解決するため、様々な薄型スピーカーの開発が検討されています。 |
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薄型・小容積でありながら、空間全体に音を広げる「HVT方式」のスピーカーは、ホームオーディオ用スピーカーや住宅設備用スピーカーにも活用されています。設置場所をとらずに、快適な音響空間を創造する「HVT方式」スピーカー。これからも、薄さ・省スペース性・無指向性を活かして、活躍の場はどんどん広がっていくことでしょう。 |
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