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音の雑学大事典
第3章 音のみらい
骨導音と気導音

ガガガガ、カーンカーン。工事現場の音はご近所にいてもうるさいもの。ましてや、そのただ中にいては、ふつうの携帯電話では相手の声などほとんど聴こえません。それが骨導音(こつどうおん)を利用すれば、明瞭度は落ちるものの確実に“聴く”ことができるのです。

「声や音は耳の鼓膜で聴くもの」と思いがちですが、こんなふうに、頭蓋骨などの骨を震わせて聴覚神経に伝達するのが「骨導音」です。これに対して、空気を震わせ、鼓膜を通して伝達するのは「気導音(きどうおん)」と呼ばれています。

気導音は明瞭ですが空気中を伝播するので騒音に弱く、骨導音には明瞭度は低いが空気中を伝播しないので周囲の騒音の影響を受けにくい、という特徴があります。長野オリンピックでは、運営のスタッフが腕時計型のPHSとともに、この気導音と骨導音をミックスさせたイヤホン型の通話ユニットを使って話題になったこともありました。

ちなみに、自分が聴いている自分の声は、気導音と骨導音が混合したもの(自分が話している時に耳の周囲を触ると頭蓋骨が振動していることがわかりますよ)。カセットなどに録音した自分の声に違和感を感じたりガッカリした経験は誰にでもあると思いますが、それは骨導音がないためなのです。

この骨導音を使った技術は、主に福祉の分野で活躍しています。

例えば、この骨導音を利用した電話や補聴器を使えば、鼓膜に障害のある方でもある程度の声や音を認識できるのです。生まれつき鼓膜に障害のあった少女が、この骨導音を利用した携帯電話を使ってお母さんの声を生まれて初めて聴いた、なんていう感動的な話もあります。技術がこんなふうに役立つと、うれしいものですよね。
「骨導音」のしくみ

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