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音の雑学大事典
第1章 音のひみつ
伝わる音、伝わらない音

庭でリーンリーンという涼やかな声。「おっ、これはいいぞ」と思って、せっかく受話器をスズムシの鳴いている方へ向けたのに、話し相手の方は「えっ、聴こえないよ」と、 つれない返事。あるいは、お気に入りの音楽を相手に聴かせようとして受話器をステレ オのスピーカーに向けても、「なんか、よくわかんない」なんて言われたり…。えっ、なんで?って思いますよね。

電話はそもそも(当たり前のことですが)会話で使うことを前提としているため、会話で主に含まれる300~3400ヘルツ程度の特定の周波数を伝達するよう作られています。人間が聴こえる音は約20~2万ヘルツ。つまり、人間が聴こえるすべての周波数は含まれていないのです。

例えば自動車の排気音は250ヘルツ程度までの低い音が主な成分ですから、電話では聴こえません。同様にスズムシの鳴き声は3400ヘルツ以上の高い音が主成分ですから、 相手には聴こえないのです。ちなみに、相手の声が肉声と違って聴こえるのも、受話器のマイクやスピーカーなどの特性だけでなく、伝達される周波数が制限されていることにも原因があります。

しかし、特定の周波数が伝達されることでメリットもあります。まず、4000ヘルツ付近の不必要な環境の騒音が削除されるので、相手の声が聞きやすくなります。さらに情報量を減らすことで回線を増やすことができ、同時にたくさんのヒトが電話を使えます。

うんうん、なるほど。これなら風流が伝えられなくてもナットクできますよね。

遠くにいるヒトととでも、しっかりコミュニケーションできる電話は、やっぱり偉大な発明だなぁ。と、再発見したところで。さ、田舎のご両親や久しく会っていないお友達にでも電話をかけてみましようか。


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