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第10回カーサウンドコンテスト > 審査について
carrozzeria x THE 10TH ANNIVERSARY CAR SOUND CONTEST REPORT
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審査委員長 好美敏和 スペシャルインタビュー-1- 審査員 麻倉怜士先生×審査委員長 好美敏和 審査員 麻倉怜士先生
 
「音の文化創造」を担った10年を振り返る。
    パイオニアカーサウンドコンテストは今年で第10回目を迎えることができました。第1回の開催時は26台だった参加台数も年々増え続け、今回は148台を数えるまでになりました。このコンテストに第1回目から審査員としてご参加いただいた麻倉怜士先生と審査委員長を務めさせていただいているパイオニアの好美敏和の対談でこの10年を振り返ってみました。    
         
    --パイオニアはなぜカーサウンドコンテストを実施しようとしたのか?    
         
    好美敏和好美:私はもともとホームオーディオのスピーカー技術者ですが、カーオーディオの開発に従事するようになって、まず最初に取り組んだのが、クルマの中の「音場」でした。
 ホームオーディオで評価の高いスピーカーをクルマの中で鳴らしても、必ずしもいい音がしない。また、窓を開けると閉めていた時より低音が出るとか、助手席、あるいは後席に座っている人と運転席のドライバーは違う音を聴いているなど、クルマ特有の事象に気づいていても、その原因が掴みきれなかった。おそらく、音場が正確に再現できていないのだろうと見当はつきましたが、カーオーディオの実体がまだ十分には掴みきれていなかったんです。
 クルマのように容積が小さい空間で、よい音を鳴らすのはとても難しい。研究の結果わかってきたのは、音場補正の重要性でした。その成果が純正カーオーディオに反映できるようになり、次のステップとして、市販カーオーディオでも音場補正に取り組むようになった。そこで、市販カーオーディオを実際にクルマに取り付けるインストーラーの方々と意見交換しながら勉強しようと始めたのが、このコンテストなのです。

麻倉:当時、カーオーディオのコンテストとしては、アメリカで始まったIASCAなどが知られていましたが、IASCAの審査基準は、インストレーションや最大音圧を競う項目などが中心で、純粋に「音質」だけを競うコンテストではなかった。その点、カーサウンドコンテストはユニークでした。
   
         
    --サウンドコンテスト開催に向けての準備は何がたいへんだったか?    
         
    好美:このコンテストは10年前のスタート時から、審査方法、審査基準などのレギュレーションには変更がありませんが、これを最初に制定する作業がいちばんたいへんでした。
 当時、社内でコンテストの準備をしていた担当者から突然、電話をもらい、審査方法と採点基準を考えて欲しいと依頼されたのです。しかも、審査委員長も務めよとのことでしたから、慌てたことを憶えています。審査基準をつくるにあたっては、心当たりがありました。私も委員会に所属したことがあるIEC(International Electrotechnical Commision)の資料に、スピーカーの試聴テスト方法についてのものがあり、これを参考にカーオーディオの音を評価する基準づくりに取り組みました。
 コンテストでは参加車両を公平な基準で評価しないといけない。共通の評価項目を決めて、その審査基準を審査員の間で共有化することで、コンテストの公正が維持できる。そのためにはしっかりしたレギュレーションが必要だろうと、慎重に制定しました。
   
         
    --コンテストスタート時のエピソード    
         
    麻倉怜士先生麻倉:私は第1回目から審査員として参加していますが、ある日突然、パイオニアのコンテスト担当者の方を紹介されたんです。その方は当時、コンテスト実現のために積極的に活動していらして「カーオーディオのレベルを上げるために」協力して欲しいと真摯に要請されたことを今でも憶えています。ショップの実力向上のためには、音質を競い合うコンテストで切磋琢磨するのが最適というのが主催者としてのパイオニアの考えでした。カロッツェリアXのような高級機を市場に定着させるためには、それに相応しい土壌づくりから取り組まないとだめだというのが当時のパイオニア関係者全員の考えだったように思います。
 私はカーオーディオの経験はまったくありませんでしたが、主催者側としては、ホームオーディオの専門家の立場から、カーオーディオの音質を評価してほしいということでしたので、お引き受けしました。ホームオーディオの水準に、カーオーディオの音質を近づけたいというのが、主催者側の願いだったように思います。
   
         
    --第1回から第10回で、音はどれだけよくなったのか?    
         
    麻倉:最初のころは、プリミティブな問題点を指摘せざるを得ないクルマも多かった。たとえば、ドアの内張りがビリついてしまったり、どこかでノイズを拾ってしまったり、いまでは考えられない状況でした。
 当時を思い出すと、最近の参加車両の音はほんとうによくなりましたね。コンテストの後の表彰式で、審査員がその年の傾向についてコメントしますが、たしか、第6回目くらいのときだったでしょうか、私は「音楽性」という言葉を使ったように記憶しています。それまでの参加者のレベルは「音楽性」云々以前でした。初期のころは私の理想とする音楽再生の世界とは、かなり隔たりがある状況でしたが、第6回目あたりから状況がガラリと変わった。「音楽」が聴こえだしたんです。オーディオ的な魅力はもちろんですが、音楽の魅力を表現できるようになってきたのが、第6回目くらいでしょうか。それからは一挙に、かなり水準が高くなったように思います。
   
         
    麻倉怜士先生と好美敏和    
         
         
         
    実りの時期を迎えたカーサウンドコンテスト   NEXT PAGE    
   
  レギュレーション制定や審査方法の徹底など手探り状態だった初期のころだが、回を増すごとに参加者の支持と信頼を勝ち得ていくことに。コンテストの意義について語っていただこう。  
   
             
             
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