医療・健康機器関連

研究用レーザ血流計を用いた
皮膚血流測定

動的環境下において血流計測ができれば、どのような行動や要因によって血流が変化するのかを知ることができます。研究用レーザ血流計を用いた運動による皮膚血流の変化について、安藤創一先生(電気通信大学准教授)の実験結果をご紹介します。

電気通信大学大学院情報学研究科 安藤 創一 准教授

電気通信大学大学院
情報学研究科

安藤 創一 准教授

2004年京都大学大学院人間・環境学研究科修了(人間・環境学博士)。2014年より現職。
“運動をすると脳や筋の中で何が起こるのか?”を大きな研究テーマとし、運動時の呼吸、循環、代謝などの変化が、脳機能にどのような影響を与えるのかについての研究を行っている。

実験風景

実験風景

目的

運動時の皮膚血流は深部体温や皮膚温などの温度に関わる温熱性要因だけでなく、それ以外の非温熱性要因(セントラルコマンド※1、筋機械受容器反射※2、筋代謝受容器反射※3など)の影響を受けることが知られています。今回、前腕での握力発揮中に皮膚血流量を測定し、活動肢と非活動肢との間でどのような違いがみられるのかについて検討しました。

  1. ※1:運動開始時に心拍数や血圧などの循環反応を増加させる脳からの情報
  2. ※2:運動時に関節や末梢の筋での機械的刺激に対して、呼吸・循環中枢を刺激する反射
  3. ※3:運動強度に対応した活動筋の代謝産物によって刺激され、自律神経活動を変化させる反射

方法

被験者は健康な男性6 名(年齢:20-43 歳)です。最初に、被験者の右手の握力発揮による最大随意筋力※4(MVC)を2 回測定し、その最大値を記録。握力発揮にはGrip force transducerを用い、AD 変換器を用いてデータを記録しました。
MVC 測定後に休憩を挟み、疲労困憊までの握力発揮運動を行いました。最初に1 分間座位にて安静を維持し、その後MVC の30%の力を維持できなくなるまで握力発揮を実施。MVC の30%のフィードバックは発揮筋力を数字で示すことにより行いました。皮膚血流は、パイオニアの研究用レーザ血流計「RBF-101」を用い、握力発揮に関わる筋である前腕の橈側手根屈筋上から記録しました。
皮膚血流の測定は、活動肢(右手)および非活動肢(左手)の両側で行い、それぞれの安静時をベースラインとして、そこからの変化量を%(Δ%)で示しました。本研究では、疲労困憊までの時間を100%とし、運動開始から25%、26%から50%、51%から75%、76%から100%までの4 つに分け、それぞれの平均値を求めました。活動肢と非活動肢の皮膚血流の比較には対応のある検討を用いました。

  1. ※4:人が最大努力で発揮する時の筋力のこと

結果および考察

MVC および30%MVC はそれぞれ351±53 N(平均値±標準偏差)、105±16N でした。また、疲労困憊までの時間は295±147 秒でした。活動肢の皮膚血流は運動時間が延長するにつれて増加しましたが(図1、赤色)、非活動肢の皮膚血流については変化がみられませんでした(図1、青色)。活動肢と非活動肢の皮膚血流の差は握力発揮の初期からみられ(P < 0.05)、後半では特に顕著にみられました(P < 0.01、P < 0.001)。
これらの結果は、握力を発揮している活動肢においてのみ皮膚血流が増加していることを示しており、今回の実験条件では活動肢の皮膚に血流を供給している血管が拡張したことを示唆しています。

図1 握力発揮中の皮膚血流の変化【赤:右手(活動肢)、青:左手(非活動肢)】*活動肢と非活動肢との比較。平均値+標準偏差

図1 握力発揮中の皮膚血流の変化【赤:右手(活動肢)、青:左手(非活動肢)】
*活動肢と非活動肢との比較。平均値+標準偏差

研究用レーザ血流計の活用によるメリット

今回、皮膚血流の測定に用いた研究用レーザ血流計「RBF-101」は、体動を伴うような様々な運動時に、皮膚血流を簡便に、かつ安定して測定できる機器であると言えるでしょう。

活用が期待できる場面
・運動時の皮膚血流を、簡便かつ安定的に測定したい時

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研究用レーザ血流計を用いた皮膚血流測定

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